2007年6月27日水曜日

ERPパッケージが“サービス”になる日

 ERPパッケージが一般に、「会計」「購買」「販売」「生産管理」「人事」といった、ある程度まとまった業務ごとに、必要な業務をまとめて「モジュール」という単位で提供されている。ユーザ企業にとって、ERPパッケージの最小導入単位は、このモジュールだった。これにたいして、サービス化したパッケージの最小導入単位は、もっと低いレベルの「受注」「在庫確認」「顧客情報入力」といったサービス単位でERPパッケージを導入できる。モジュール単位の導入に比べれば、導入の自由度が遥かに高くなる。入できる。モジュール単位の導入しか選択肢がなかったことに比べれば,導入の自由度がはるかに高くなる。
 サービス化したERPパッケージは、標準化された技術であるWebサービスを介して他のサービスと連携することができる。連携のためのインタフェース用アドオン・ソフトが不要になる可能性も出てきた。メインフレーム上で動作するアプリケーションであれ、他社製のパッケージ・ソフトであれ、Webサービスを介せば、個別のインタフェース用プログラムを開発しなくでも、つながるようになるからだ。

 サービス化に突き進むERPベンダー

 ERPパッケージのサービス化が叫ばれ始めたのは3年ほど前である。その後の3年間で,ベンダーの方針は一変した。

 2004年に,ERPパッケージ世界1位の独SAPが「ベストプラクティス」という言葉を使うのを止め,「Enterprise SOA」というサービス化を前提とした考え方を打ち出したのが発端である。Enterprise SOAは,SOA(サービス指向アーキテクチャ)を全面的に取り入れて,ERPパッケージのあり方を見直したものだ。

 Enterprise SOAに沿ったERPパッケージの特徴は,様々な機能を「サービス」として提供できるようになることだ。ユーザー企業は,サービスを組み合わせて,自社の 業務に合ったシステムを構築できる,というのがSAPの説明だった。SAPはこの時,「2007年にEnterprise SOAは完成する」と宣言した。

 SAPの発表から約1年経った2005年1月。今度は世界第2位のERPベンダーである米オラクルが,新ERPパッケージの開発プロジェクト 「Project Fusion」を発表した。オラクルはこの時,Project Fusionで開発する新世代のERPパッケージ「Oracle Fusion Applications」を,完全にサービス化されたパッケージ・ソフトにすることを明らかにした。第一弾の製品は2008年に出荷される予定だ。

 オラクルの考えもSAPと同じだ。Oralce Fusion Applicationsが提供するサービスをパッケージとして扱えるようになれば,ユーザー企業は好きなサービスを組み合わせて,自社に最適なシステム を構築できるようになる。オラクルは,買収を通じて,10社を超える企業のアプリケーション・パッケージを手に入れている。これらの製品相互の統合を進め るためにも,ERPパッケージのサービス化が不可欠と考えたようだ。

 他のベンダーもSAP,オラクルの後を追い始めた。外資系では,世界3位の米インフォア・グローバル・ソリューションズがすでに自社製品のサービ ス化に着手。2007年6月に,ERPパッケージ「Dynamics AX」を日本市場に投入した米マイクロソフトも,米国ではサービス化に向けた戦略を発表済みだ。この波は国産製品にもやってきている。2007年5月に は,富士通が自社製品「GLOVIA」をサービス化すると発表した。

 ERPパッケージをサービス化して利用するためには,専用のミドルウエア群が必要になる。SAPであればNetWeaverであり,オラクルであれば Oracle Fusion Middlewareである。サービスとしてERPを導入するためには,少なくともこれらのミドルウエアに習熟しなければならない。

2007年6月21日木曜日

SAP,企業向けモバイル・ソリューション関連製品を拡充

独SAPは現地時間6月20日,企業向けモバイル・ソリューションである複合アプリケーション「SAP xApps」などの機能拡充を発表した。新機能を加えることで,情報ワーカーの生産性の向上と意思決定プロセスの支援を図る。SAPは同日,同社のモバイル・ソリューションの基盤となるモバイル・インフラ「SAP NetWeaver Mobile」の新版も発表した。

リモートから顧客と製品情報へのアクセスを提供する「SAP xApp Mobile Sales」には,販売員が販売促進活動を評価したり,オフィス外からでも顧客のフィードバックに直ちにアクセスできる機能などを追加する。新しい複合アプリケーション「SAP Mobile In-Store Inventory Management」は,小売業を支援する統合ビジネス・ソリューション「SAP for Retail」を拡張するもの。販売員に最新の在庫データを提供するため,顧客を適切な売り場と商品により速く導くことが可能になるという。

2007年6月20日水曜日

「ERPの次の一手はBPP」、SAPジャパンが新戦略の詳細を解説

「データを中心に、ビジネス・プロセスとアプリケーションが密接に結びついている、これまでのERP(統合基幹業務システム)パッケージのアーキテクチャでは、柔軟なシステムを求める顧客の声に対応できない」。SAPジャパンビジネスプロセスプラットホーム本部長を務める福田譲バイスプレジデントは、同社が新たな製品群のコンセプトとして「BPP(ビジネス・プロセス・プラットフォーム)」を打ち出した理由について、こう説明する。

 SAPジャパンが打ち出すBPPの実体は、同社が提唱する「エンタープライズSOA(サービス指向アーキテクチャ)」を実現するためのアプリケーションと基盤ミドルウエアである。アプリケーション群「SAP Business Suite」とミドルウエア群「SAP NetWeaver」で構成する。「これまでのERPパッケージを否定するために、BPPを打ち出したのではない。ERPの考え方を拡大したのがBPP だ」と福田バイスプレジデントは説明する。

 エンタープライズSOAは、SAP版のSOA。「競合のSOAと異なる点は、多様なサービスを製品として提供できることだ」とエンタープライズ SOA推進室の松本潤マネージャは強調する。具体的には、SAPが持つERPパッケージやCRM(顧客情報管理)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)といったアプリケーションをサービスの集合体とみなし、エンドユーザーが定義したビジネス・プロセスに沿って複数のサービスを連携させて、新たなアプリケーションを作る。SAPのアプリケーションだけではなく、他社のパッケージ・ソフトや自社開発のシステムをサービス化することで、新たなアプリケーションに取り込むことも可能だ。

 「エンタープライズSOAを実現するために欠かせないのがBPP」(松本マネージャ)という。BPPには、アプリケーションをサービスとして扱えるようにするための「エンタープライズ・サービス(ES)」や、ESを管理するための「エンタープライズ・サービス・レポジトリ(ESR)」が含まれる。 ESは「受注」「発注」など業務の視点からアプリケーションをサービスとして扱えるようにするための定義を記述したものだ。ESはSAPのアプリケーションとともに提供している。

 このほか、サービスを連携するために必要なミドルウエア「NetWeaver Process Integration」や、エンドユーザーがサービスの連携手順を定義するための「NetWeaver Composition Enviroment」などもBPPの一部である。これらの製品は、今年から来年にかけて順次提供予定だ。

シーエフ・カンパニー,指に取り付けるバーコード・スキャナを発売



シーエフ・カンパニー(本社東京)は,米Socket Mobile社が開発した小型のバーコード・スキャナ「ハンズフリー・バーコードスキャナー Cordless Ring Scanner」(CRS)を2007年7月に発売する。指に取り付けるスキャナ部分と,腕に装着するBluetooth送信ユニットから成り,常に取り 付けた状態で作業できるため,読み取り作業のたびにバーコード・リーダを取り出す必要がない。左右の指を動かすことでスキャナを起動でき,両手が荷物など でふさがっていてもバーコードの読み取り作業を行える。

2007年6月13日水曜日

SAPジャパン/中堅企業向け戦略を刷新、ERP導入を低リスク化

SAPジャパン(株)は6月13日、中堅企業向け戦略の一環として、年商500億円未満の企業を対象にしたERPパッケージ「SAP All-in-One」の認定プログラムを刷新すると発表した。

新プログラムでは「ERPを導入したいが投資可能な予算が限られている」「実現範囲がわかりにくくリスクが高い」といった、多くの中堅企業が抱える ERP導入時の課題を解決するため、「納得感のある価格」「明確な適応範囲」「低リスク」でのERPパッケージの提供を実現する。

中堅企業向けに刷新されたプログラムで提供されるSAPパートナー認定パッケージは、①対象業種が細業種にわたって明確であること②各業種の標準的 業務が事前に定義済みであること③導入プロジェクトが6か月以内に完了できること④すべての導入費用(ソフトウェア、ハードウェア、導入サービスなど)を 含んだ提供価格が明確になっていること――などを特長とする。

こうした条件を満たすことで、ユーザーは実現範囲を正確に理解、合意したうえで導入プロジェクトを開始することができ、プロジェクト進行に伴う追加費用の発生を抑えられる、としている。

新「SAP All-in-One」認定プログラムは7月から開始、規定のプロセスを経て認定されたパートナーパッケージが順次出荷される。